2014年3月10日月曜日

クロール・スイッチのON/OFF

リーディングは14分7秒でした。リスニングは、函館行のJRの中で。

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今回の最終診断は、tenofovirによるファンコーニ症候群。この冠名症候群は、スイスの小児科の先生Guido Fanconi先生が類似症例報告をまとめて
"nephrotic-glucosuric dwarfism with hypophosphatemic rickets"(Lignac-De Toni-Debré-Fanconi Syndrome)という概念を提唱したのが、始まりとか。症例報告は大切ですね。その診断に至った肝の部分を抜粋したのが、下の文。

  • In this patient, the combination of normal parathyroid hormone levels and hypokalemia makes renal Fanconi's syndrome the most likely diagnosis.
  • In our patient, the normal levels of FGF-23 and parathyroid hormone, coupled with the presence of glycosuria, hypokalemia, and metabolic acidosis, confirmed the diagnosis of renal Fanconi's syndrome.

前半では悪性腫瘍を考えていたのに方向転換できたのが、低カリウム血症がきっかけとしているのだが、あちらの検査では、Basic Metabolic Panel(日本では、ドラマERのヒットでCHEM-7の言い方が有名。SMA-7とも言うらしい。)がルーチンで、その7項目は、Na、K、Cl、HCO3、BUN、Cre、GLUだから、ルーチン検査でAnion Gapが計算できるわけ。ルーチンでHCO3を測定しない日本では、高Cl血症に着目出来るかどうかが運命の分かれ道になりそう。意外と、クロール値の十の位スイッチが、0か1かってのは大切。

2014年3月9日日曜日

Subordinate Clause 後置の訳

今日のリーディングのトライアルは、12分46秒。リスニングもぼっとしてると、無意識に訳そうとしてしまう。そのまま聞くことの難しさよ!

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昨日の"since"と"because"の話を一般化する。談話文法には、"information flow"というモデルがある。談話は、旧情報→新情報で流れていくということをいう。そうすると、自然な流れとして、副詞節を伴う複文は、「従属節(Subordinate clause)+主節(Main clause)」の構造となるはずだが、それを逆転させる発話には、それなりの訳がある。虐げられてきた(?)従属節に、何らかの含意をもってスポットライトを当てているのだ。だから、それをわざわざひっくり返して訳すのは、その含意を無視することにほかならない。次のように訳すのはどうだろう。

  • M although S:☓ SではあるがM → ◯ M、但しS
  • M if S:☓ SならばM → ◯ M、要件はS
  • M unless S:☓ SでないならM → ◯ M、例外はS
  • M because S:☓ SだからM → ◯ M、何故ならS

ただ、気をつけなければならないのは時間の前後を意味する場合、意味の倒錯がある。

  • M after S:☓ Sした後でM → ◯ M、その前にS
  • M before S:☓ Sする前にM → ◯ M、その後でS

紛らわしいが、実際、CPSでは、afterやbeforeの従属節は登場せず、多く出現するのは、although, because, since, if, when, whereasくらいのもん。whereasの場合は、
  • M whereas S:☓ Sの一方、M → ◯ Mの一方、S
と、見掛けと違って、楽チン。

タイトルは、CPSを模して「わけ」と「やく」で掛けてみた。

2014年3月8日土曜日

"since"と"because"

少しじっくり読んだら16分28秒でした。リスニングでは、hypokalemiaとか、hypophosphatemiaとか出てきますが、hyper-との区別は自信がありません。ネイティブの方達は、聞き間違いがないんでしょうかね?
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"since"と"because"の違いが気になったもので例文を挙げてみる。

  • Since tenofovir has been associated with renal Fanconi's syndrome, I would recommend stopping administration of this medication.
  • Tenofovir is the most likely cause of the syndrome in this patient, particularly because there is no evidence of a monoclonal gammopathy.

”since"の節が前置されるのは、コーパスに当たってみると、"because"よりも多いようだ。語源辞典を繰ると、"because"はフランス語の真似とのこと。
because (conj.)
c.1300, bi cause "by cause," modeled on French par cause. Originally a phrase, often followed by a subordinate clause introduced by that or why. One word from c.1400. As an adverb from late 14c. Clipped form cause attested in writing by mid-15c.
そこで、クラウン仏和辞典を繙くと、"par cause"はさすがになかったが、現代語の"parce que"に次のような記載があった。
parce que は相手に対し相手の知らない(と思われる)理由を説明するのに用いる。puisque は相手も知っている明らかな理由を証拠として言う。…comme は文頭で理由を強調する。
英語の"because", "since", "as"の使い分けにそのまま当てはまるようだ。"because"節は未知情報となることが多いから後置されることが多いのだろう。そうは言っても単純に割り切れるようでもないが、日本語だって、厳密に「ので」と「から」の使い分けを説明せよ、などと言われたら難しい。

2014年3月7日金曜日

Sentence Length

昨日公開になった”Wasting Away"、印刷して、速く読むことを意識したら、6分33秒でした。結論は分かったが、細かい論理の展開は頭に残らず。もう少しゆっくりメモをとりながら読むのでもいいのかも。リスニングでは、"thorax"という基本単語が聴き取れず。
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短い順の例文は、700番まで到達。例文を短い順に目を通していて感じたのは、感情的な表現が多いこと。まぁ、考えて見れば、創作作品でも、主人公が郷愁に浸って回顧していれば、長い文になるだろうし、ハードボイルドの主人公が危機に直面すれば、短文で畳み掛けるだろう。交感神経系と副交感神経系、System 1 と System 2 にも呼応するのかもしれない。
Readabilityに関する記事を読んでみると、“Over the whole document, make the average sentence length 15-20 words, 25-33 syllables and 75-100 characters.” ということらしい。そこで、行長120以下と121以上の文をコンコーダンサーで比較してみて、有意に短文群で使用頻度の多い語、少ない語上位20を弾き出した結果は下記の通り。
    1. I - and
    2. be - although
    3. he - or
    4. also - as
    5. now - include
    6. would - such
    7. his - with
    8. have - which
    9. still - of
    10. what - in
    11. my - antibody
    12. do - associate
    13. we - syndrome
    14. seem - level
    15. get - because
    16. need - diffuse
    17. not - from
    18. no - complication
    19. should - by
    20. this - than
主語が"I"をはじめとする人称代名詞である文や否定文は短い傾向にあるようです。

2014年3月6日木曜日

Speed Input & Recycled Output

いつのまにか、NEJMの国内版のサイトがリニューアルしていた。それに呼応したわけではないが、タイトルを変更しました。昨日は、今までの総集編の投稿でしたので、今日は、今後の方向性についてまとめてみます。方向転換というわけではなく、よりTo Doを明確化するための投稿です。

目標:
  • CPS記事を10分で読むことができるようになる。(Speed Input)
  • NEJMのポッドキャストのCPSが聴いて分かるようになる。
  • 英語の臨床推論が独り言で言えるようになる。(Recycled Output)
方法と評価:
  • 毎日1回ずつKindleでタイムトライアル。
  • 毎日1回ずつiPodで素材を聴く。
  • 短い順から1日100個程度の文に目を通し、"Anki"用の例文カード"CPS例文集"を更新。
  • 暇な時間に"アンキドロイド単語帳"で例文暗記。
  • 上記をまず"30日間チャレンジ"し、SIROのタグで、タイムトライアルの結果、気のついたことを本ブログ投稿。
素材の準備:
  • WappwolfでCPS記事のpdfをKindleに文献を転送。
  • "Audacity"でCPSの部分をSilenceFinderで切り出し、Repeatで9回繰り返しを追加、時間軸のスライド/ピッチの変更で-20から+60(100wpm - 200wpmに相当)に速度を徐々に上げるように変換、mp3に出力、iPodに転送。
  • CPS記事のResponse部分をテキスト形式で保存し、例文を抽出、"Anki"カードを作成する。(試験的に作成した短い順500番までの文章から94の例文をカード"Response in Clinical Problem-Solving"にしたものを作ってシェアしてみました。随時、バージョンアップ予定。今後、10,000個弱ある文章に目を通しつつ、例文を追加、削除しながら、500文程度の例文集を完成させたいと思っています。)
pdf以外にテキスト形式で保存するのには、理由がある。のちのち、"AntConc"などの混淆ダンサー、もとい、コンコーダンサーを使ってコロケーションや単語やn-gramの頻度を解析できるからである。さらに、下記の正規表現で部分置換を行うことで、テキストを1行1文にしておくと便利。(大文字小文字の区別をするように設定しておくことに注意)
Find What: ([a-z|\)|][\.|\?|\!|:]) ([A-Z])
Replace With: $1\n$2
コンコーダンサーを立ち上げるまでもなく、行ソートをかけると、同じ主語の例文を集めやすくなるし、行長ソートをかけると、短い文の例文を集めやすくなる。ただ、行長ソートは普通のエディタにはない。ところが、"恋に落ちる"とも形容される"Sublime Text 2"で、Sublime Forumにある下記のプラグインを読みこめば、それが可能になる。(Sublime Text 3では何故か動作せず。)プラグインのインストールは、Tools > New Plugin... で開くウィンドウに下記をペーストして、"sort_lines_length.py"の名前で保存する。後は、対象範囲を指定し、"View > Show Console"で現れた窓に "view.run_command('sort_lines_length')" と打ち込んでやれば、プラグインがロードされて実行される。
import sublime, sublime_plugin
import sort
def line_length_sort(txt):
    txt.sort(lambda a, b: cmp(len(a), len(b)))
    return txt
class SortLinesLengthCommand(sublime_plugin.TextCommand):
    def run(self, edit, reverse=False,
                        remove_duplicates=False):
        view = self.view
        sort.permute_lines(line_length_sort, view, edit)
        if reverse:
            sort.permute_lines(sort.reverse_list, view, edit)
        if remove_duplicates:
            sort.permute_lines(sort.uniquealise_list, view, edit)
早速、明日からと思ったが、明日は飲み会でした^^

2014年3月5日水曜日

臨床推論の6S読解法

最近の投稿の総集編。

Sound
文字のない言語はあるが、聴覚障害者のための手話以外には、音のない言語はない。母国語でさえ、書けない言葉、意味のわからない言葉は多く、発音できない言葉は、少ないだろう。まず、音ありきなのである。音が分からなければ、内言もできない。
特に、専門分野の英語の場合、慣用として使っている音が間違えていることが多い。それを改めること。アクセントの有無で母音の音色が変わるので、アクセントの位置を正確に覚えることが大切である。音のわからない言葉は、黙読の際、マーキングしておいて、あとで確実に発音を調べることである。試しに、下記の単語を正確に発音できるであろうか?
  • gout, dyspnea, ibuprofen, digoxin, mobile, methyl, psoriasis, psychiatry, myeloid, 120/80 mmHg
Subject
右書では、英文の文章をなめらかにつなぐ法則を4つにまとめている。そのなかの1つに「古い情報を前に」というものがある。この原則に従うと、先頭の語でさえ定まっていない不定冠詞や無冠詞の複数で始まる文章は、一般論であることになる。一般論は、暗に後続する主張の前提となっていることが多く、従って後続の文に結果を指示するsignpost wordsを伴うことが多い。
さらに、一般論では、コンテキストを制限するために、"In + 名詞"を先に出す方法も採られることがある。例えば、"In a younger patient with unexplained weight loss, an eating disorder should be considered."(若年患者の体重減少摂食障害考えられるべきである。)と、日本語における二重主語のような構文が少なからず見られる。
しかし、具体的推論においては、登場するActorsは自明なので、定冠詞を伴う名詞や人称代名詞が主語になることが、不定冠詞を伴う主語より圧倒的に多い。さらに、Actorにより得意なActionも決まってくるので、インプットの際は、主語を把握すること、アウトプットの際も、主語を決めることが、極めて重要です。PDCAの4つの領域から何か選べばいいのです。

Patient
The patient: 症候を示すのにhave, be、訴えを示すのにreport、薬歴・既往歴を示すのにtake, receive, undergoなどの動詞が使われる。

Diagnostician
「我思う、故に我あり」ではないが、「思う、考える」ことから始めると、どういうわけか"I think"、"I would consider the possibility of"と、considerの場合は控えめになる傾向があるようです。思うのは勝手、考えるのは意志的だからでしょうか。「希望・提案」も"I would want / like to know whether"など控えめにしますが、「気になる、危惧する」などは自分の問題なので、素直に直接法で"I am concerned / worried about the possibility of"などと表明します。
主語を省略できない英語では、"I"の多用を避けるため、受動態(should be considered / performed / obtained / ruled out等)や非生物主語の使役表現(make me think, lead me to consider等)も使われます。

Clinical Clues
手掛かりで一番多いのは、症候の有無です。これらの手掛かりが、想定される確率をどのように更新するか、新たな仮説を示唆しないかが、動詞に反映されます。それぞれの動詞がどのように蓋然性を更新するかは、事項を参照してください。
  • The absence of - : make - less likely / unlikely, argue against, rule out, suggest, reduce, exclude, be consistent with
  • The presence of - : suggest, raise the probability of, indicate, be suggestive of, be consistent with
疾患を除外するときは、rule out、可能性を除外するときは、excludeを使うことが多いようです。

Assumed Diseases
未分化な"The possibility"は、当然、"should / must be considered"です。具体的な疾患が、仮説となってくれば、診断基準"criteria"を満たす(meet, fulfill)かどうか試験が必要です。さらに、必要条件として、Time courseは矛盾しないか、症状をExplainするか、充分にSimpleな仮説か、Theoryに合うかのTESTをしていくことになります。ここで使われる動詞で多いのは、"explain, account for, meet the criteria"などです。
主語が多様で、まだ十分精査できていません。今後の課題です。

Strength of the Guesstimation
"To cure sometimes, to relieve often, to comfort always."という格言があります。経験からくる蓋然性は、過去の頻度が参照されるので、頻度と蓋然性を示す言葉を一覧にしてみました。
話を聞きながらメモを取る場合などは、蓋然性の高い因果関係の場合は、二重矢印(double arrow)、五分五分程度の場合は普通の矢印、低い場合は破線の矢印(dashed)と表記を決めておくと、メモしやすいでしょう。可能性が下がったときには縦線(vertical bar)を追加すれば、メモ上での確率の更新も容易すくなります。
  • High odds ( >2): always 100%, diagnostic of 98.4%, certain 95%, indicate / indicative of 92.1%, can, almost certain 90%, usually 90%, very likely 85%, in keeping with 82.1%, generally 75%, probable 75%, compatible with 74.3%, suggest / suggestive of 69.8%
  • Even odds (1/2 - 2): often 60%, frequently 60%, likely 60%, raise the possibility of 52.9%, frequent 50%, could 50%, may 50%, occasionally 40%, might 40%
  • Low odds (<1/2): sometimes 30%, possible 25%, rarely 20%, unlikely 15%, remote 10%, improbable 10%, hardly ever 10%, never 0%
Signpost words
上記本の4つの法則のうち、もう1つが「話の道筋に道標を」というものである。これらの道標(signpost)はインプットの際も有用である。下記に見るように、because, since, although, ifなどの従属接続詞(Subordinators)が多いことに注目したい。
  • Addition: also(782), as well as(98), in addition(32), similarly(1)
  • Cause/Reason: because(263), since(242), as a result of(32)
  • Comparison : as compared with(5), in comparison with(3)
  • Condition: if(238), given(217)
  • Contrast : although(299), however(166), despite(46), yet(25), in fact(8), nonetheless(5), instead(5), on the other hand(4), nevertheless(2), conversely(1)
  • Effect/Result : thus(46), therefore(27), thereby(5), hence(3), consequently(2), accordingly(2)
  • Exemplification: such as(559), particularly(146), thus(46), for example(25)
  • Reformulation: rather(92), in other words(1)
  • Summary: hence(3), finally(1), in summary(1), to summarize(1), 
  • Time sequence: after(222), now(126), before(120), at this point(70), at the time(24), at this time(10), subsequently(8),  eventually(4)
  • Transition: as far as; is concerned; as for ; to turn to
Semantic Qualifiers
敢えて訳せば、「意味限定子」。病歴の再構成、BCG流に言えば、論点のクリスタライズに、意味にブレのない索引語を使いましょう、ということらしい。確かに頭もすっきりして仮説生成もしやすくなるし、将来的に世界中の診察室がネットに繋がり、結晶化した病歴と診断が呟かれるようになれば、巨大な症例データベースが自然に構築される。ただ副作用として、ますます英語がMedicaleseとしてロックインされることになるけど。
  • Patient Identity: man, woman, adolescent, young, elderly
  • Onset: sudden, gradual, acute, chronic, abrupt, rapid, subacute, immediate, delayed, spontaneous, new, initial, relapsing, late, early, flare(-up)
  • Course: persistent, intermittent, recurrent, previous, episodic, paroxysmal, prolonged, progressive, indolent, transient, fluctuating,
  • Site: mono-, poly-, intra-, extra-, large, small, local, systemic, unilateral, bilateral, focal, multifocal, proximal, distal, anterior, posterior, constitutional, diffuse
  • Severity: mild, moderate, severe
  • Setting:  exertional, nocturnal, at rest, immunosuppressed, immunocompromised
Speed Reading
当ブログの目的は、NEJMのCPSシリーズを読んで、自分なりの臨床推論を断片的にでも英語で呟けるようになることだ。その為には、速く読めることに越したことはない。禅問答のようだが、速く読めるようになるためには、速く読むことだ。タイムトライアルを繰り返す。同じ素材であれば、自然に速くなるはず。しかし、繰り返しは、飽きる。だから、モチベーションを保つために、時間を測定し、記録する。その数値こそが、インプットの測定可能な指標である。最初は、意味は分からなくとも、気になるところはマークして、あとでぼちぼち調べるようにする。それを繰り返すのだ。ちなみに速度の目安を下に記しておく。
  • 100 wpm センター試験
  • 120 - 30 wpm NEJMのポッドキャスト
  • 150 wpm TOEICレベル
  • 200 wpm ネイティブの話すスピード
  • 300 wpm ネイティブの読むスピード

2014年3月4日火曜日

病因学と症候学の狭間の陥穽

CPSのレスポンス部のムーブ分析をしていて、ディスクールの主語が圧倒的に、患者、私、症候や検査結果(患者の生理的産物)、疾患・診断・可能性(私の思考産物)の領域が多いことに気がついた。そこでその4領域における診断の陥穽についてメモをしておく。

投稿のタイトルを「病因学と症候学の狭間」としたのは、岩田健太郎先生の著作にインスパイアされて、疾患は、病理学的病因(もの)と患者の知覚体験(こと)の間の結節点としての観念的概念であると思い至ったからである。診断学が単純な病名当てクイズ "guess the disease game" ではないという想いも暗に込めた。(病理学と症候学のさらに外側の病因と公衆衛生を繋ぐものが疫学で、基礎・臨床・社会医学の円環が完成する。)

下記項目のタイトルは、PDCAに、()内は、グラフィカルなイメージに残るよう上下左右 "Superior, Inferior, Sinistral, Dextral" に準えた。

Patient (Sufferer)
  • 不安による症状の修飾 “Fear always springs from ignorance.” ― Ralph Waldo Emerson
  • 隠匿 "Everybody lies"  ― Dr. House 必ずしも悪意からではないが、典型的なのは、薬、酒、暴力、事故、労災など。
Diagnostician (I)
  • 「知之為知之、不知為不知、是知也。」論語<為政>
  • "Risk comes from not knowing what you're doing. " ― Warren Buffett
  • ついでに言えば、クセジュは、韓国語で救世主の意味。
  • 不知の自覚、メタ認知が重要。その他、コミュニケーション不全、疲労など生理的限界、認知的限界、環境の障害、どんな職業でも多少なりともそうだが、パイロット兼アテンダント、プレイイングマネージャ、社会人vs家庭人としての診断家等々。
  • 診断家の脳の容量を補完するものとしてコンサルト、同僚への相談、紙媒体やウェブのリファレンスがある。
Clinical Clues (Symptoms & Signs)
  • "Listen to your patient, he is telling you the diagnosis." ― Sir William Osler
  • シニフィアン:症候の有無、長短、強弱、テンポの組み合わせ
  • さらなる病歴、自然経過、介入結果(診察、検査、診断的治療)なども鍵となる。
  • 手がかりは、どんなにモダリティが進歩しても最終的には、患者の訴えと診断家の認知機能に依拠せざるを得ない。
Assumed Answers (DDx or Disease) 
  • “Medicine is a science of uncertainty and an art of probability” ― Sir William Osler
  • 診断家の認知能力のバイアスのかかった患者の嘘を、患者プロファイル、病因、症候、疫学、自然経過、介入結果から得られる情報により、仮説の蓋然性を操作することによりシニフィエを読み解く作業。