2013年4月20日土曜日

【本】みんなはどう診るこの症状

表紙が、まるで「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」にそっくりのこの本、日本版簡易Clinical Problem-Solvingといった内容。研修医、指導医に遍く目を通していただきたい一冊です。その理由を3つ挙げると、

  1. 記載が簡潔であること:あたり前のことだが、読まないと身にならない。症例呈示も簡潔で各科の医師の思考が箇条書きで記されており、当直の合間にでも読みやすい。
  2. 複数分野の専門医の思考が記載されていること:科の異なる複数医師の思考が対比できることで、正解・不正解という短絡思考から免れることができる。
  3. Clinical Pearlがまとまっていること:あんまり診断過程には興味がなくて、手っ取り早く自分の日常診療を見直すには、ここだけ読んでも充分有用。

本家のClinical Problem-Solvingは、読むだけでも骨が折れるし、日常のカンファレンスに導入するにも、あそこまでの症例呈示を準備するのには腰が重くなる。「この程度のカンファレンスでも充分ためになるよ」という実践の書としても、嬉しい一冊です。

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