2013年4月23日火曜日

【本】診断のゲシュタルトとデギュスタシオン

サン・ジョルディの善き日に診断学の素晴らしい本を手にした。表紙は編者の肖像を加工したものであろうか?私自身は編者にお会いしたことがなく、ゲシュタルトを把握しておらず断言は出来ないが、分かる人には分かるのであろう。本書の内容を的確に示唆している。
コモンであるがゆえに誤診されやすい疾患やレアであるゆえに誤診を通じて学ばれる疾患、織り交ぜて、分かる人が暗黙知にスポットライトを当ててくれた本である。ぐだぐだ説明するよりも取り扱っている疾患の一覧がこの本の秀逸性を物語ってくれていると思うので、目次から抜粋する。
片頭痛、パニック障害、うつ状態・うつ病、副鼻腔炎、良性発作性頭位めまい症、急性喉頭蓋炎、慢性閉塞性肺疾患、肺血栓塞栓症、モンドール病、急性心筋梗塞、大動脈弁狭窄症、感染性心内膜炎、タコツボ型心筋症、虫垂炎、総胆管結石、急性膵炎、閉鎖孔ヘルニア、大腸憩室炎、肝硬変、輸入脚症候群、菊池病、多発性骨髄腫、好酸球性血管浮腫、Spontaneous retroperitoneal hemorrhage(SRH)、偽痛風、Crowned dens syndrome(CDS)、慢性髄膜炎、リウマチ性多発筋痛症、RS3PE、側頭動脈炎、副腎不全、甲状腺中毒症、シェーグレン症候群、脊椎関節症(炎)、皮膚筋炎、キャンピロバクター腸炎、つつが虫病、パルボウイルス感染症、Lemierre 症候群、腸アニサキス症、成人スティル(スチル)病
このリストの疾患で痛い目に遭っていない医師は、セネカの「過つは人の常、繰り返すは悪魔の業」という言葉に倣うと、神か悪魔かであろう。編者自身、発売前からブログでこの本の発刊を示唆しており、発売後も同ブログで「はじめに」を引用し、その出来に自信を覗かせている。神と悪魔のdégustationを待ちたい一冊である。

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