2013年6月18日火曜日

【本】三人の記号―デュパン,ホームズ,パース

積んでおいた右掲訳本の「三人の記号―デュパン,ホームズ,パース」を読了。訳本の方は、馬鹿高い値が付いているので、原著のリンクを張っておきました。シービオクの論文だけで良ければ、「シャーロック・ホームズの記号論―C.S.パースとホームズの比較研究 (同時代ライブラリー (209)) 」として、中古本がまだ安く入手できます。しかし、ウンベルト・エーコ編の右本のほうが多彩な筆者を揃え、ジョヴァンニ・モレッリ、ジークムント・フロイト、カミロ・バルディ、ヴォルテールなどの逸話が引き合いに出され、読み応えがあります。最後は、メタ・アブダクションの説明に、ブランドのZadig & Voltaireの由来になったと思われるVoltaireの小説"Zadig ou la Destinée"が引用されていますが、これまたSerendipityの語源ともなった「セレンディップの3人の王子」にインスパイアされた作品とのこと。人間の思想の連綿とした連続性に感じ入った次第。
診断学の歴史の曙を垣間見るには得るところが多いが、推理の裏技が紹介されているわけでもなく、シャーロック・ホームズが「四つの署名(The Sign of Four)」で指摘するように、推理の実際には、観察、推理、知識が必要なように、まずは、Harrisonなどの成書に依って、しっかりとした知識が無ければ、診断力の向上はあり得ないことを悟らされることになりました。

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