2014年3月3日月曜日

命題論理と臨床推論

単純な命題論理が適用できるClinical Reasoningの実例は少ない。臨床は、不確実世界における因果関係の文脈において語られるので、致し方はないのだが。一応、混乱しやすい用語をまとめておく。
  • A third heart sound might be anticipated if the patient were in left ventricular failure, but she could have heart failure due to serious diastolic dysfunction, and therefore she would not necessarily have a third heart sound.
モードを無視して、「もし患者が左心室不全ならばⅢ音の聴取を聴取する。患者は左心室不全ではない。故に、Ⅲ音は聴取されない。」とすると、これは、「前件否定」(inverse error, fallacy of the inverse)の誤謬に陥ってしまう。同様な陥穽に「後件肯定」(converse error, fallacy of the converse)があり、推論の際、気をつける必要がある。
一方、似た名称の前件肯定、後件否定は、正しいので、推論に有用である。

  • 前件肯定、一番常識的直感に沿った推論形式。ラテン語のmodus ponendo ponens「肯定によって肯定する様式」を略して、モーダスポネンスと呼ばれたり、大前提の前件と後件を分離する推論方式から分離規則 (the law of detachment) とも呼ばれたりする。
  • 後件否定、対偶による推論形式。ラテン語のmodus tollendo tollens「否定によって肯定する様式」を略して、モーダストレンスとも呼ばれる。

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